導入事例

Amazon QuickSightを活用したマルチテナントBI構築 飲食店向けデータ分析・可視化サービスの開発を支援

株式会社シェルパ導入事例

お話を伺った方

株式会社シェルパ 開発部 部長 金子 真志 様(写真右)

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お客様の課題
  • ・飲食店向けに提供するオーダーシステムの売上・注文データの集計機能が簡易的だったため、顧客企業からは改良の要望が多く寄せられていた
  • ・Amazon QuickSightを用いたマルチテナント構成や権限設計について社内のナレッジが不足しており、設計方針の検討に時間を要していた
  • ・少人数の開発体制の中で、既存プロダクトの開発・保守と並行して新たなBI基盤を構築する必要があった
課題解決の効果
  • ・マルチテナントBI基盤の設計判断が明確になり、設計・検証工数を従来比50%以下に削減
  • 内製運用を前提としたデータ分析基盤を構築し、将来的なダッシュボード追加や機能拡張に対応可能に
  • ・技術的な知見が整理・共有され、開発チーム全体の理解度向上と属人化抑制につながった

飲食店向けセルフオーダー/モバイルオーダーシステム「Cherpa(シェルパ)」の開発・販売を手がける株式会社シェルパは、飲食店の現場業務を支える各種業務支援システムを自社で開発・提供しているフードテック企業です。2018年の会社設立以来、寿司店や焼き肉店をはじめとする飲食店で来店客が注文時に使用するタッチパネル型セルフオーダーを中心に、スマートフォンを活用したモバイルオーダー、POSレジ連携、テイクアウト注文管理、順番受付管理といった周辺システムを展開し、国内外約800店舗で利用されています。

同社のプロダクトは、店舗運営の省人化や業務効率化を目的としながらも、単に注文をデジタル化することにとどまりません。多店舗展開企業向けに、本部からメニュー配信や価格統制を行える仕組みを提供するなど、飲食店全体のオペレーションを一体的に支援する点に特長があります。近年では、人手不足対策やDX推進、スタッフとお客様の接触削減といった社会的ニーズの高まりを背景に、少人数でも安定した店舗運営を実現するプロダクトとして、より多くの要望が寄せられています。

一方で、こうしたサービスを通じて蓄積される売上データや注文データについては、これまで簡易的な集計機能にとどまっており、顧客企業からはより高度な分析や可視化を求める声が上がっていました。

開発部部長の金子真志様は、当時の課題感を次のように振り返ります。

「既存の集計プログラムを改修し続けることも検討しましたが、開発リソースや継続的な改善コストを考えると、正直なところ限界がありました。お客様の要望に応えながら、将来的にも拡張しやすい形でダッシュボードを改善していくには、BIツールを活用した仕組みへ切り替える必要があると判断しました」

こうした背景のもと、更新性や拡張性に優れたクラウドBI基盤を実現するため、AWSを活用したデータ分析基盤の構築を進めることを決定し、その設計・検証に取り組むことになりました。

シェルパ_開発部 金子様
株式会社シェルパ 開発部 部長 金子 真志 様

BI基盤構築プロジェクトの流れ

AWSを活用したデータ分析基盤の構築を進めるにあたり、シェルパ様ではいくつかの課題に直面していました。中でも大きなテーマとなったのが、複数業態・複数店舗から収集されるデータをどのように統合し、顧客企業ごとに安全に提供するかという点です。特に、Amazon QuickSight(※)を用いたマルチテナント構成については、閲覧権限の分離やアカウント設計、運用時の管理負荷など、設計段階で検討すべき要素が多く、社内に十分な知見が蓄積されていない状況でした。

※支援当時は「Amazon QuickSight」という名称でしたが、現在は「Amazon Quick Suite」として提供されており、BI機能は「Quick Sight」として利用されています

「複数の業態・店舗から生成されるデータを統合し、顧客企業の事業全体を横断的に分析する基盤を整備するために、QuickSightでマルチテナント構成を組む、という方針自体は決まっていました。ただ、権限設計や運用面まで含めて考えると、社内だけでは判断が難しい部分が多くありました」

こうした状況を踏まえ、同社は内製による継続的な改善を前提としつつ、不確実性の高い領域については専門家の知見を取り入れる方針のもと、NHN テコラスが提供するC-Chorusのプロフェッショナルサービスを利用することに決めました。

「当社では、将来的に自社で改善・運用していくことを前提にした開発スタイルを大切にしています。NHN テコラスの支援サービスは、単なる構築代行ではなく、内製を前提とした技術伴走型のサービスである点がフィットすると感じました」

「特に、『プロフェッショナルサービス』については、時間単位で相談できる点でとても使い勝手が良いと思います。支援を受けるとなると“すべてを一任する”ことになる形態が多い中で、必要な部分だけを切り出して伴走してもらえる点は非常にありがたかったです。設計や判断に迷ったタイミングでピンポイントに相談できたことで、内製中心ながらも安心してプロジェクトを前に進めることができました」

プロジェクト初期には、S3を中心としたデータレイク構成、Athenaによるクエリ実行、QuickSightを用いた顧客別ダッシュボード提供といった基本要件を整理し、シェルパ様側でアーキテクチャ検討と検証を進めました。その過程で、QuickSightのマルチテナント構成や認証・権限設計といった判断が難しいポイントについて、NHN テコラスから技術的な助言を受けながら、設計方針の整理と検証を行っています。

「“この構成であれば問題ない”といった形で判断材料を示していただけたことで、設計に対する不安がかなり解消されました」

さらに、検証過程で得られた知見をNHN テコラスがテックブログとして整理・公開したことで、社内での理解促進やナレッジ共有にもつながったといいます。

参考記事:Amazon QuickSight 名前空間を活用したマルチテナント構成の実装|NHN テコラス Tech Blog

NHN テコラスの支援によって得られた成果と評価

本プロジェクトでは、NHN テコラスの技術アドバイザリを通じて、設計段階における不確実性が大きく解消されました。特に、QuickSightのマルチテナント構成や認証・権限設計といった、社内だけでは判断が難しかった領域において、明確な判断材料を得られたことが、プロジェクト全体を前に進める原動力となりました。

「C-Chorusのプロフェッショナルサービスは技術アドバイザリの質が非常に高く、特にマルチテナント構成や権限設計のような難しい領域で、明確な方向性と根拠を示してもらえた点が印象的でした。設計に対する迷いや不確実性が解消されたことで、自信を持って実装に進めるようになりました」

その結果、設計レビューや検証にかかる工数は従来比で50%以下に削減され、QuickSightに関する検証期間も当初想定の約70%で完了しました。運用設計についても見通しが立ったことで、将来的な運用工数の削減が見込まれています。

「技術的な助言が的確だったことで、手戻りがほとんど発生しませんでした。結果として、プロジェクト全体のリードタイム短縮につながったと感じています」

シェルパ様_取材
NHN テコラス株式会社 辻(左手前)、漁(左奥)

定性的な面でも変化は顕著でした。難所となっていたマルチテナント設計について、技術的な背景を理解したうえで判断できるようになり、開発部内での共通認識も深まっています。

「QuickSightの運用についても、『なぜこの構成にしているのか』を説明できる状態になりました。調査内容や検証結果をブログや資料として整理・共有してもらえたことで、社内ナレッジとして再利用できた点も、内製化を進めるうえで大きな価値がありました」

「月次で開催された定例MTGでは、設計だけでなく、運用を見据えた判断ポイントまで共有してもらえたので、意思決定が非常にしやすかったです。また、打ち合わせの中で業務に関連しそうなAWSの最新トピックや情報を紹介してもらえることも多く、チームとして学びの多い時間になっていました」

実装や検証を担当した開発メンバーからも、
「設計の迷いがなくなり、自信を持って前に進めるようになった」
「QuickSight運用に対する理解が深まり、今後の拡張が進めやすくなった」
といった前向きなコメントがあり、チーム全体として技術的な理解度が底上げを実感されたようです。

今後のAWS活用に向けた取り組み

シェルパ様では、本プロジェクトを通じて得た知見を踏まえ、今後もAWSを中心としたクラウド活用を継続的に進めていく方針です。

「飲食店向けサービスのさらなる拡張に向けて、既存のタッチパネルオーダー、テイクアウト、順番受付といった各プロダクトのUX改善や安定性向上に取り組むとともに、データ活用の高度化にも力を入れていきます。今回整備したBI基盤は、まずは可視化を目的としたものですが、将来的には店舗オペレーションデータを活用した負荷予測や傾向分析など、より実践的な活用につなげていきたいと考えています」

「今後は、既存プロダクトのUXや安定性向上に加え、店舗データを活用した可視化や予測機能の開発を進めていきます。IaCやCI/CDによる内製基盤の強化、ハードウェア連携の改善を通じて、小さく作り素早く改善する体制を継続していきたいと考えています」

NHN テコラスの支援についても、今後の新規プロジェクトやインフラ見直しのタイミングでは、技術アドバイザリとしての活用を継続していく考えです。

「今回のように調査内容をドキュメントやブログとして整理していただける取り組みは、社内ナレッジとして活用できるため非常にありがたく、今後も新規のプロジェクト立ち上げ時や、インフラの見直しのタイミングで積極的に御社サービスを利用させて頂ければと思います。当社としては、技術的な不確実性が発生した際に『まず相談できるパートナー』として、長期的にご支援いただけることを期待しています」

NHN テコラスでは今後も、AWSを活用したデータ基盤設計・運用に向けて、お客様の内製化と継続的な改善を支援してまいります。

公開日:2026年1月20日

NHN テコラス 担当プロジェクトメンバー

マーケティング本部 クラウドリードチーム 辻 気流
マーケティング本部 営業部 第一営業チーム 漁 吉洸

導入サービス

株式会社シェルパについて

飲食店向けの各種業務支援システムの開発・販売・保守を展開する会社です。主力サービスのセルフオーダー/モバイルオーダーシステム「Cherpa(シェルパ)」をはじめ、飲食店の業務効率化や省人化を支援する各種プロダクトを自社で開発・提供しています。現場での使いやすさを重視した設計を特徴とし、多店舗展開企業向けの運用にも対応。飲食店の継続的な改善をテクノロジーで支えることを目指しています。

社名
株式会社シェルパ
内容
飲食店向けの各種業務支援システムの開発・販売・保守
設立
2018年11月15日
従業員数
19名(パート・アルバイト除く)

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