導入事例

産業用ポンプのDX施策にクラウド基盤を活用 Amazon Connectを用いた独自のサポート機能も

兵神装備株式会社導入事例
お客様の課題
  •  主力製品である産業用ポンプの付加価値向上やお客様満足度を向上させ得る新サービス提供を目的としたDXを進めるため、なるべく低コストで構築でき、運用負荷も最小限に抑えられるITプラットフォームを求めていた
課題解決の効果
  • ・効率的にシステム構築を行えたことで、ポンプの稼働状況の把握や記録、監視を遠隔から自動的に行う機能の社内外への提供を開始できた
  • ・現在も機能の改善・拡張を繰り返しながら、予知保全等の新サービスの実現に必要な稼働データを収集できている

兵庫県神戸市に本社をおく兵神装備株式会社は、産業用ポンプの開発・製造を行うメーカーです。

主力製品である「モーノポンプ」は一軸偏心ねじポンプを原理とし、高粘度・高濃度液、変質しやすい液体や粉体まで高精度に定量移送できるのが特長で、こうした分野において国内90%以上(同社調べ)というシェアを誇ります。モーノポンプは、たとえばジャムや味噌といった食品から粉末活性炭、あるいは化学素材まで、さまざまな産業分野における流体移送に利用されています。

モーノポンプ

同社では以前からポンプ製品のIoT化を推進しており、ポンプの品質情報の管理や稼働状況の監視といった領域にデジタル技術を取り入れる取り組みを進めてきています。

今回は同社技術本部 技術部 DX商品開発グループでIoT・AIビジネスの推進を担当されている市川武彦様と、岡本光輝様にお話を伺いました。

デジタルを駆使した産業用ポンプの付加価値開発 顧客体験を「感動」レベルに

DX商品開発グループの役割について教えてください

市川様:
デジタル技術を駆使した商品開発を目的として、既存の製品に付加価値を加えるためのDXを推進する専門部署です。当社のポンプの稼動状況を自動で収集する『C2‐Connect』は、そのような商品のひとつです。当グループは、『C2-Connect』の企画・開発・運用を一気通貫で担っています。ものづくりの会社として、製品の価値を高めていくための取り組みですが、研究開発というよりは商品開発という役目を担う部署なので、収益性を意識しつつ、顧客満足度を『感動』というレベルにまで高めることを目指して取り組んでいます。

兵神装備 市川様
兵神装備株式会社
技術本部 技術部 DX商品開発グループ
IoT・AIビジネス推進担当
市川 武彦様

どのような経緯で立ち上がったプロジェクトなのでしょうか?

市川様:
2020年に『C2-Connect』の開発プロジェクトをスタートしました。

同じモーノポンプという製品であっても、送る液体の粘度や量、生じる圧力によってポンプの部品や材質は適切なものに変えています。しかし、稼働しているうちにそれらの部品が摩耗するなど劣化が生じてくるので、そこからアフターサポートを通じた売上も発生します。お客様から部品の注文を受けることもありますし、点検を通じて交換が発生することもあるのですが、従来は人の経験やノウハウに基づく判断が中心でした。
これをよりタイムリーかつきめ細やかに対応していくため、デジタル技術を取り入れて、ポンプの品質や稼働状況に関するデータを取得して、部品交換時期の予測や故障を検知する仕組みを構築することになりました。

現在はすでに運用フェーズに入っており、複数のお客さまにご利用いただきながら、データを収集しつつ検証と改善を繰り返しています。

過去の経験を活かして当初からクラウドの基盤構築を選択 Amazon Connectによる機能追加も実現

AWSを導入することになった経緯をお聞かせください

市川様:
当初から基盤はクラウドで構築する方針でした。理由は2つあり、ひとつは新しい取り組みということで、初期コストをなるべく抑えたかったこと。初期段階ではユーザーのボリュームや利用形態といった傾向が読みづらかったため、状況に応じてシステム構成やそれにともなって発生するコストを見直していけるようにしたいと考えました。もう一つは、私が前職でAWSの活用経験があり、社内の承認を得るための説明がしやすかったことです。
また、プロジェクトがスタートしてから様々な新しい機能要件が発生しましたが、その実現に適したAWSサービスを組み合わせ効率的に開発することができています。AWSサービスだけでなく、可能な範囲でオープンソースやSaaSとの連携で開発量を抑えつつ、ポンプの付加価値実現に関する部分は、自由度の高いスクラッチ開発で進めるという方針でした。

具体的にはどのようなAWSサービスをご利用になっているのでしょうか?

市川様:
ベーシックなところで、Amazon EC2、AWS Lambdaで各機能を動かしており、データベースにはAmazon RDSを利用しています。また、メールの送受信にはAmazon SES、データのダウンロード機能の実現にはAmazon S3を使っています。さらにC2-Connectの機能やRDSに蓄積しているデータを外部から利用できるAPIを開発中ですが、そこではAmazon API Gatewayを活用しています。
あとは、お客さまに製品の稼働状況をお知らせする機能のひとつとして、Amazon Connectを導入しています。収集したデータのしきい値に基づいてメールで通知する機能があるのですが、夜中だとメールに気づくのが遅れることや、普段からメールよりも電話でのやり取りが中心になっているお客さまの声を受けて、電話をかけてお知らせするという仕組みを追加しました。

どういう部分がAWSのメリットだと感じますか?

市川様:
やはり、ハードウェアの選定やメンテナンス作業から解放されたというのが一番です。故障や障害への対応はつきものなので、オンプレミス運用の場合は実際に現地まで赴いて対応する必要がありました。この作業がなくなったことで、商品のDXという本来の業務に注力することができるようになりました。

岡本様:
私はすでにプロジェクトが始まった後に新卒で入社しており、クラウドサービスに触れたのが初めての経験でした。しかし、AWSはもともとイメージしていたよりも馴染みやすく、無料枠があったりするので、いろいろ試しながら抵抗なく使えるのがよかったです。

これからもクラウドや生成AIなど、技術トレンドを取り入れた商品開発に注力

兵神装備 岡本様
兵神装備株式会社
技術本部 技術部 DX商品開発グループ
岡本 光輝様

NHN テコラスの請求代行サービスをご利用いただいていかがでしたか?

市川様:
シンプルにコストが抑えられるということは大きなメリットでした。開発段階ではともかく、システムが運用フェーズに移ったときに、ビシネスとしてコストを軽視することはできません。その他に、AWS技術サポートが受けられることに加えて、クラウド保険がついているということも、経営層にとっては判断の後押しになったようでした。実際に契約後、Chorus Portalから何度か問い合わせをしましたが、いつもレスポンスが早いので助かりました。
Amazon Connectの利用を始めようとしたとき、なかなか情報がなく難航したことがありました。発信元となる電話番号を獲得するために様々な書面を提出する手順などもありましたが、サポートから詳しい案内を受けながら進めることができました。それ以外の細かな技術的な問い合わせに関しても対応いただけたので、そのときは契約しておいてよかったと感じました。

今後、どのようにAWSを活用していきたいですか?

市川様:
社内の業務システムに関しては、ほとんどがオンプレミス環境で稼働していますが、『C2-Connect』の開発や運用の取り組みが、今後会社でクラウドやSaaSを導入するときの、ひとつの良い知見になればいいと考えています。
もちろん、お客様に向けても、クラウドを活用したDXの推進が、研究開発型企業をビジョンに掲げる弊社の良いPRになればと思います。
AWSでも日々新しいサービスが出ていますし、生成AIの活用など、世の中のトレンドを見ながら、新たな技術を素早く採り入れトライ&エラーを継続することが理想です。Amazon Connectのようにニーズベースで新しいAWSサービスを採り入れるだけでなく、シーズベースで新たな機能やアイデアを具現化していくことにもAWSサービスを活用していきたいと考えています。

岡本様:
Amazon Bedrockを利用した生成AIのアプリケーションを構築したいと考えています。プラットフォーム上のアシスタントの実装によるFAQや、稼働しているデータを学習させて稼働状況の要約をテキストで出力するなどのサービスを実現させて、ユーザーの利便性向上につなげたいと考えています。また、AWS上でシステム開発を行う際にAmazonQを利用して、生産性向上を図りたいと考えています。今後、AmazonQのトラブルシューティングのサポート機能が東京リージョンでも実現すれば、ぜひ利用したいです。

※「C²-Connect」「C2-Connect」「モーノポンプ」「モーノディスペンサー」は兵神装備株式会社の登録商標です

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兵神装備株式会社について

様々な液体の移送・充填・注入・塗布に携わる産業用ポンプ「モーノポンプ」「モーノディスペンサー」の開発・製造・販売を主力事業として手掛ける会社です。

社名
兵神装備株式会社
内容
産業用ポンプ(モーノポンプ・モーノディスペンサー)および周辺機器の製造・販売
設立
1968年1月
従業員数
475人(連結)

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