導入事例

フロントエンド開発の強みに加え、協業によりインフラ面もカバー 多様化するWeb制作のニーズに応えるために

株式会社カドベヤ導入事例

「クリエイター共同体」として、Web・アプリケーションケーションの開発ディレクションやデザイン、常駐型人材支援などの事業を展開する株式会社カドベヤ(以下、カドベヤ)。クリエイティブやデザイン領域に強みをもつ同社は、サービス設計やシステムの環境構築など、上流工程から案件に関わることが多いのが特長です。大手企業を中心に、通信・フィンテック・エンタメなど幅広い業種のプロジェクトを抱えるカドベヤですが、一方では公官庁や財団から委託を受けた案件を通じて、デザイン領域から社会課題の解決にも取り組んでいます。

2005年のカドベヤ参画直後からWeb事業の立ち上げを担い、現在もWebやアプリの開発を中心としたクリエイティブ事業を牽引する、取締役COOの長津孝輔氏にお話をうかがいました。

クリエイティブ案件に上流からコミット 文化事業、社会課題の解決にもデザイン領域から取り組む

まずは、株式会社カドベヤの成り立ちや事業について教えてください。

株式会社カドベヤ
取締役COO 長津 孝輔氏

会社の設立は1999年ですが、実際に事業が動き出したのは2002年で、このタイミングを「発足」と呼んでいます。当時は渋谷のオフィスでタイ古式マッサージ店を営業しながら、すぐそばで映像制作をしているような風変わりな会社でした。

私自身は東北新社でWebとCMを統合したブランディングを経験したあと、2005年にカドベヤに参画して、Web事業の立ち上げを担うことになりました。入社翌年の2006年に大型案件を受注してからWeb制作が事業として軌道に乗り、その後のサイト改善も含めた長期の取引案件が増え、現在にいたるまでコアの事業になっています。

また、派遣事業の認可も取得していますので、SESで企業にクリエイター人材を送り込む事業も展開しています。

NHN テコラス(以下、テコラス)と協業するきっかけになった、自治体の資料アーカイブ事業もそうなのですが、他にも日本の書籍を英訳して海外の研究機関に送付する取り組みのブランディング施策など、文化や教育領域の案件が多く、社内では「ベネフィット事業」と呼んでいます。
純粋な商業案件ではないため収益につなげることが難しい側面もありますが、世の中にはビジネスだけでは変化しないこともあると思います。社会を変えていく、より良くするための取り組みとして、意義のあるものだと考えて取り組んでいる領域です。

会社として「クリエイター共同体」の価値創造を掲げていますが、デザイナーというよりもディレクターが多く、メンバーのおよそ70%を占めています。これは、成果物が定まっていない状態からブレストや議論を通じて方向性を決めていく動きを取ることが多いためで、今回テコラスのクラウドビジネス協業プログラム Cloud Chorus Partner Network(CCPN)との親和性を感じたのもこの部分が関連しています。

デザインが解決すべき課題のスコープが広がっている

今回、テコラスのクラウドビジネス協業プログラム(CCPN)に参画いただけることになりました。親和性を感じたというのはどういった部分でしょうか?

カドベヤはフロントエンドの制作・開発を強みとしていますが、バックエンドやインフラの開発については社内に専門的な人材がいません。ただ、当社としてはWebサイトを提供するうえで、セキュリティやパフォーマンス性能なども含めて総合的に機能性が高いWebサイトを提供していくことを重要視しています。その部分を裏付けてもらえるパートナーとして、AWSやインフラの開発に強みをもつテコラスとの協業に魅力を感じました。
クライアントの要求に応え、質の高いアウトプットを提供していくという目的を達成するうえで必要なサポートが受けられますし、当社としても課題解決の幅が広がると思います。

テコラスとのパートナーシップを通じて、今後注力していきたい領域はありますか?

このほど公共機関から委託を受けた案件で、社会的な孤独や孤立を予防する案件に携わっています。文化、教育領域の委託を受けることが多いというお話をしましたが、そうした意味で、デザインというものが解決するべき課題のスコープは、以前と比べて広がってきていると感じます。
SDGsや、その文脈で語られるESG投資などに関しても、デザインを通じて貢献していける領域は広く、そうなると必然的にクリエイターが知っておくべき範囲も広がっていきます。社会に向けた価値創造という部分まで含めてアウトプットしていくのが、自分たちの役割だと思っています。

テコラスの専門性は以前から信頼 自治体案件に求められる高い要求水準にも対応

テコラスと協業することになった経緯や案件について教えてください。

以前、ある大学から発注を受けて学生向けに提供する読書術に関するアプリを開発していた際、そのクライアントのパートナーとしてテコラスがプロジェクトに参加していました。
AWSでインフラを構築する案件だったのですが、当時テコラスの担当エンジニアが求められた要求に対して非常に機動性が高く、保守・改善に動いていました。最上位プレミアパートナーに認定されているだけあって、AWSのこともよく理解していると感じたのが記憶に残っています。

その後、2022年から始まった自治体の文化資料アーカイブ事業では、委託を受けた段階からサーバーはクラウドを利用することが決まっていました。設計の自由度を勘案してAWSを使うことにしていたのですが、設計・構築に向けてインフラ開発のためのパートナーを探していました。テコラスを含めた複数社を比較して検討しましたが、以前の案件でのテコラスの対応を思い出したことがひとつの決め手になりました。
加えて、AWS請求代行「リセールサービス」でAWSの利用料も安価になるとともに、初期設計やインフラ構築でもテコラスが費用面の相談に乗ってくれたことが大きく、今でも感謝しています。

自治体の文化資料アーカイブ事業について、とくに印象に残っていることはありますか?

実際に案件をご一緒してみての感想ですが、総じてテコラスのエンジニアの対応は手厚いと感じています。他社とのやり取りでは機械的に対応されることが多いシーンでも、親身になって対応してくれました。
この点は、見積り取得やパートナー選定の段階ではわからない部分だったので、実際のプロジェクトを通じて知ることになった部分です。

この案件は、発注時点でローンチまでの時間が限られているという背景がありました。インフラの設計と構築を早急に進める必要がある中で、最終的には当初定められた期限に間に合う形でローンチにこぎつけることができたのは、評価できるポイントです。

また、サイトの翻訳機能を実装するという要件があったのですが、ツールの導入作業が難航した際にも、フロントエンドの開発担当者とともにテコラスのエンジニアに相談した結果、サーバーサイドでレンダリングする方法を採用することで、機能を実現することができました。

自治体が発注元の案件ということで、とくにセキュリティ面での対応が求められたと聞きました。

セキュリティ面の構成としては、まずTrend Micro Cloud One Workload SecurityをAmazon EC2へ導入して仮想マシンのセキュリティを担保することにしました。また、AWS WAFのBasicなマネージドルールを基本としつつ、あわせてBot Controlのマネージドルールも導入しています。さらに、AWS Security Hubを導入して、Amazon GuardDutyとAmazon Inspectorを統合しました。

公共サービスとして提供されるサイトなので、もともとセキュリティ面での要求水準は高く、加えて開発が進行する過程でたびたび要件が追加されることもありました。もちろん堅牢である分には良いことなのですが、実際の利用状況から考えると過剰と思える要求もあり、発注元との調整が必要でした。そうした中で、テコラスとは密にコミュニケーションを取ることで、クライアントに納得してもらえるような材料を用意するところから支援してもらえました。

現在は運用フェーズに入っているということですが、サイトの安定稼働のための取り組みに関してはいかがですか?

運用フェーズでも、助かっていることは多くあります。

一般的に、自治体や公官庁のサービスというのは日頃からクラッキングやDoS攻撃を受けることが頻繁にあり、これが原因で障害につながってしまうこともありました。これをクライアントに報告するために、Amazon Athenaで解析したアクセスログのデータを提出したのですが、クライアント側にはシステム開発やプログラミングの開発の経験がない方も多くいらっしゃいました。そうした方に向けて、どのようなことが起こっているのか、どのような対処が必要かといったことを、わかりやすい言葉に言い換えて説明することが必要になりますが、テコラスの担当エンジニアとは原因の究明から改善レポートまで、表現の部分を含めて一緒に考えてクライアントへ報告することで、事象を解決に導くことができました。
クライアント側にも納得していただけたので、信頼を得ることにつながったと思います。

あとは運用費の面でも、値下げの要請を受けることはたびたびありますが、円安など外部環境も含めて、なかなか実現できていないという事情があります。こうした部分でも、納得いただくための説明をするというところで、理論を構築する支えになってもらえました。

CCPNを通じて多様化するWeb制作へのニーズに応える

今後どのような開発を目指していくかなど、構想があれば教えて下さい。

当社ではWordPressのようなCMSを利用したWebサイト構築も行っていますが、AWSを活用したインフラ構築においては、セキュリティとサイトのアクセス速度の改善を考慮しWordPressをヘッドレスCMS化するようなニーズがあります。ヘッドレスCMSで構築した静的なコンテンツはAWS CloudFront にキャッシュさせ、セキュリティと高速化を担保するなど、今後はWeb制作の中でもアプリケーションとインフラが関わる仕事は増えていくと考えています。
また、昨今は円安もあり、インフラ構築に費用を潤沢につかえないため制約は多いですが、サーバレスアーキテクチャを活用して費用を抑えるなど、クラウドネイティブなインフラに最適化することでやれることはいろいろあります。

そうした状況を踏まえてサイトの作り方を考えていくにあたり、テコラスにはベストプラクティスの実現、インフラを最適化していく方法について、アドバイスをもらいたいと思います。

最後に、パートナープログラムへの参画を検討されている企業へのメッセージをお願いします。

カドベヤのようなフロントエンド開発が中心の会社は、数としてはそれほど多くはないかもしれません。
ただ、フロントエンドに強みを持っている企業で、AWSやインフラ構築の提案やソリューションに課題がある企業であれば、テコラスとの協業によって提案の提案や成果物の幅は広がります。
そうした企業にはぜひ、CCPNの活用は有効な選択肢になると思います。

今後も引き続き、お手伝いができればと思います。本日はありがとうございました。

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株式会社カドベヤについて

2002年に映像プロデュースとタイ古式マッサージの会社として創業した株式会社カドベヤ。現在はWebやアプリの開発や映像プロデュースを中心に、クリエイティブ領域における強みを活かした「クリエイター共同体」として、顧客課題や社会問題の解決に取り組んでいます。

社名
株式会社カドベヤ
内容
Web・アプリ制作、映像プロデュース、クリエイター人材支援、ブランディングを中心としたVI・CI計画
設立
1999年8月
従業員数
約40名

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