デジタルマーケティング、ECワンストップやコンタクトセンターなど多様なサービス展開により、企業と消費者の接点を創出し顧客体験の向上を支援するトランスコスモス株式会社（以下、トランスコスモス）。災害時の復旧対応も踏まえたシステムのため、大規模なDR対策の案件に初めて挑戦し、セキュアかつ可用性の高いAWS環境を構築した事例について、インフラチームのリーダーとしてSI部でインフラの提案・構築・運用に携わっている松下大介氏とプロジェクトリーダーとしてインフラの調達や構築を担当している南岡 芳孝氏にお話を伺いました。

大規模なDR対策案件への取り組み、AWSの構築でNHN テコラスが貢献

導入前の課題とNHN テコラスを選んだ理由

松下氏「クライアントの要望として、サイトの構築と円滑な運用により、利用者の利便性の向上を図るとともにサービス自体の内容の充実と質の向上といった内容をいただいており、利用者数を増やすために魅力的なサイト構築を目指していました。また、災害時の復旧対応も要望としてあり、私どもとしても本格的なDR対策は初めてだったため、多くの部門をまたいだプロジェクトとして体制をつくり対応に臨んでいます。その中でAWSの構築・運用はNHN テコラス社に依頼をしました。」

松下氏「NHN テコラス社とは以前からお付き合いがありました。2018年頃にクライアントのサーバーリプレイス案件でAWSの環境を手配いただいたのが最初だったと思います。それからAWSを利用する案件は協力をいただいており信頼関係もできているため、今回の件もお声かけしました。」

南岡氏「AWSはサービスが多く、使いこなすためにはノウハウが必要です。クライアントの要望を実現するためにはどのサービスを利用するのが最適なのか、アドバイスや提案、技術的な支援を期待してNHN テコラス社には協力をお願いしました。」

ISMAPを満たしたセキュアかつDR対策のために可用性の高い環境を構築

NHN テコラス社の構築支援

南岡氏「今回は個人情報を扱うサイトであるため、厳しいセキュリティ要件が求められており、政府が運営するクラウドサービスのセキュリティ評価制度であるISMAPの要件を満たしたサービスの選定が必要でした。当社でまだ利用したことのないAWSサービスも多く、NHN テコラス社のエンジニアに相談をしながら設計を進めました。

不正アクセス対策として、Cloudflare社のWAFを導入し、証跡管理としてAWS CloudTrailを利用しています。 また、多層防御・脆弱性対策の可能なWorkload Securityを導入しましたが、AWS Auto Scalingで拡張する際のWorkload Securityの挙動についても所属部門ではノウハウがなく、NHN テコラス社の力を借りて対応しています。

さらにDR対策として東京と大阪のリージョンに同等の機能での稼働が必要となるため、その環境構築もNHN テコラスに依頼しました。東京では利用できるが、大阪リージョンでは利用できないサービスもあり、代替手段をどうするかなど当社としても初めて取り組みのため想定外のことが多く苦労しました。

本案件では、当社が得意とするDrupalを利用したシステムを構築しましたが、Amazon EFSとの連携で課題がありました。 Drupalでは管理サーバーを1台設置し、各Webサーバーを設置、それらが同じ内容のWeb素材を参照できるようにしています。今回はネットワークストレージとしてAmazon EFSを導入しましたが、トラフィック量が事前に予測できず、設定部分が課題となりました。結果的には性能試験を実施し運用が決まりましたが、本案件を通してノウハウをためることができており、今後の案件にも活かしていきたいと考えています。」

松下氏「初めての取り組みも多く、当社側でクライアントの仕様書から意図を読み取れず想定していたよりも工数がかかる箇所などもあり、稼働がひっ迫する場面もありました。しかし、NHN テコラス社のプロフェッショナルサービスをうまく活用することで、当社の稼働を全体的に下げることができ、大変助かりました。 クライアントへのドキュメントのレビューで必要な設計書の内容も私達が求めている粒度でご対応いただけてNHN テコラス社の支援には満足しています。」

今後の展開

松下氏「当社のインフラチームで初めて導入、運用するAWSサービスが多く、注意すべきポイントを把握すること、リリース後の運用でイメージしきれないことがあることが懸念事項でしたが、NHN テコラス社のエンジニアの協力ですすめることができました。

運用方法について改善すべきことはまだありますが、トラブルなく安定稼働を実現できており、クライアントからも評価いただけたのはNHN テコラス社の協力があってこそです。」

南岡氏「今後は当社専用の構築パッケージを用意していただくなど、要件定義の部分からNHN テコラス社にも入ってもらい、全体的に案件をお任せできる体制をつくることで当社の稼働をサポートいただければと考えています。」