仮想マシン運用からCloud SQLへ刷新 サービス停止を伴わないデータベース運用体制を構築
株式会社ネットアドバンス導入事例- お客様の課題
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- ・データベースがボトルネックになりメンテナンス時にサービスを停止する必要があった
- ・需要が急増する時期にアクセスが集中することでシステムに負荷がかかり、エンドユーザーからのクレームが発生、クレーム対応コストが生じていた
- 課題解決の効果
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- ・Cloud SQL へ移行した結果、メンテナンス時におけるダウンタイムが不要となり、エンドユーザーへ提供中のサービスを停止する必要がなくなった
- ・アクセス急増期のクレームや個別対応が大幅に減少し、組織の効率化に貢献した
株式会社ネットアドバンスは2022年に創立100周年を迎えた株式会社 小学館のグループ会社であり、教育機関や図書館、各種研究機関、また自治体サービスから家庭生活にわたる幅広い分野での知識市場創出をめざした事業を展開しています。
同社の主力事業である『ジャパンナレッジ』は、辞書・事典、各種叢書類を中心にした知識源から「知りたいこと」にいち早く到達するためのオンライン検索・閲覧サービスであり、法人・各種機関、あるいは個人など、広い範囲でサービスが利用されています。
『ジャパンナレッジ』はこれまで ニフクラ(旧NiftyCloud) / 仮想マシン(MySQL)を活用していましたが、NHN テコラスの支援のもと Google Cloud の Cloud SQL Enterprise Plus を選定し、移行しました。その後、認証系に対するボトルネックを2024年の秋から冬にかけて解消しています。
今回、プロダクトセンター システムチームのチーム長に話をお聞きしました。
ニフクラ / 仮想マシン(MySQL)から Google Cloud / Compute Engine(MySQL)に移して、さらに、Cloud SQL Enterprise Plusに至るまで
データベースへのメンテナンスを入れる際に、エンドユーザーに提供していたサービスを停止しなければならなかった
最初の移行ではまず、ニフクラ / 仮想マシン(MySQL)から Google Cloud / Compute Engine(MySQL)に移行しました。当時の移行は以前使っていたクラウドサービス上と同じ構成で移行して、数年使用しました。
仮想マシンで運用していたのですが、どうしてもパッチを当てるときに他の部分を冗長化していても、データベースへのメンテナンスを入れる際、エンドユーザーに提供していたサービスの停止を伴いました。
そのような課題があり、2011年に新しい技術として Cloud SQL が登場し(一般提供は2012年〜)、移行を検討するきっかけになりました。
Cloud SQL から Cloud SQL Enterprise Plus に至るまで
Cloud SQL へ移行しましたが、サービスのパフォーマンス面での問題はさほど変わっておらず、アクセス集中時にデータベース認証処理がボトルネックとなり、応答遅延やタイムアウトが発生しました。
MySQL は5.6と5.7のバージョンを使用していましたが、バージョンを変更してしまうとプログラムにも影響してしまい影響度も大きくなることから、そのバージョンを使っていました。
しかし、Cloud SQL Enterprise Plus を使うのであれば MySQL も8.0系にバージョンアップをする必要がありました。
そこに至るまでには、Redis やデータベースのキャッシュ使用、Memorystore も候補でしたが、Cloud SQL Enterprise Plus を使い MySQL も8.0系にバージョンアップをする決断をしました。
Cloud SQL Enterprise Plus にアップグレード、MySQL も8.0系にバージョンアップ
Cloud SQL を使い始めた時点でサービスダウンタイムが減りました。その後、Cloud SQL Enterprise Plus にアップグレードし、MySQL も8.0にバージョンアップをしました。
このような流れで移行を重ねた結果、課題を解決することができました。
これまで(課題が解決する前)はデータベースの構成、インスタンスの分割などを、コスト面と照らし合わせて数多く検討をしてきました。
今までの課題だった認証系に対するボトルネックを、2024年の秋から冬にかけて解消できたことになります。
結果的に Cloud SQL Enterprise Plus にしたことにより Cloud SQL 自体のコストは上がっていますが、費用対効果も高くなったため満足しています。
2種類のサービスを移行へ。最初に実施した、『ジャパンナレッジSchool』への Cloud SQL 導入、運用
メンテナンス実施の際、サービスを停止しなくてよくなった
移行を検討していたサービスは2種類ありました。まず比較的システム改修の影響度の低い『ジャパンナレッジSchool』から導入し、安定性と影響範囲を評価したうえで次のアクションを判断する方針としました。その結果、先に移行した『ジャパンナレッジSchool』にトラブルが発生しなかったため、『ジャパンナレッジ』も仮想マシンから Cloud SQLへの移行が決定しました。『ジャパンナレッジ』の移行の際はバージョンも変更することなくこれを実現しました。
2種類のサービスを Cloud SQL へ移行した結果、メンテナンスを実施する際にサービスの停止をする必要もなくなりました。
移行を段階的に実施した際の、判断基準など
優先順位をつけて影響度の低い方から実施したいと考えました。
NHN テコラスも影響度を試算してくれて、必要になりそうな改修量や、もう使えないモジュールを使っている点などを加味して、開発側として様々な協議をした結果、サービスを移行させる順番が決まりました。
『ジャパンナレッジ』への Cloud SQL 導入と運用
まず『ジャパンナレッジSchool』を移行。次に『ジャパンナレッジ』の移行。それぞれの作業期間の違いやトータルの期間など
移行1回の合計期間は、約半年ほどかかりました。テスト環境でデータを移行し、動作を確認、その上で本番環境にてデータを移行、これらの工程で3〜4ヶ月かかりました。そして本番環境での改修と確認テストでさらに1〜2ヶ月かかります。開発自体にはさほど影響はなく、どちらかというと、完全なデータ移行の完了確認や運用も含めた確認テストに2ヶ月ほどかけました。
受け入れ側の検証などを丁寧に実施したことで、『ジャパンナレッジ』を移行する際の期間を短縮できました。
先に移行したサービスの方で出てきた課題が当然ありましたが、それらを踏まえて次の移行を実施したことから、時間の短縮とノウハウの活用ができたと思っています。
アクセスピーク期にエンドユーザーからのクレームが大幅に減少した
私たちのサービスのアクセスピーク期は4〜6月です。導入いただいている大学や高校などのエンドユーザーは、この時期に新入生向けのガイダンスを行うことなどから、アクセスが急増します。
しかし、そのアクセス過多でクレームが発生していました。「ログインできない」、「利用できない」といった内容です。そしてクレームが発生するとカスタマーサポートチームはエンドユーザーに対して個別対応などを要していました。
しかし移行によりボトルネックを解消できたため、移行後の2025年の4〜6月はクレームが大幅に減少しました。
カスタマーサポートチームのクレーム対応も大幅に減少し、組織の効率化に貢献できました。
NHN テコラスの対応について
NHN テコラスからは、いろいろと提案していただけます。もちろんこちらは、その提案を鵜呑みにするのではなく、深掘りした情報を詳しく聞かせてもらったり、こちらでも精査をしたり、当然、技術とコストの両面で検討しています。
ネットアドバンス社に対して NHN テコラスのエンジニアは3人体制で支援してもらっています。NHN テコラスの社内で資料やエビデンスを残し、バックアップ体制を構築していると聞いています。
主担当のエンジニアKさんとは、かれこれ10年近く一緒に働いています。年齢も同じです。「NHN テコラスにはKさんがいる」、という状況が安心感にもつながっています。
また、NHN テコラスの営業担当さんは月に一度の報告会ミーティングで来社があり、Slackでもやりとりを続けて、無理をお願いしたいような請求書対応なども受けてくれています。
今後の展望
2026年と2029年の大きなアクションに向けて動きはじめています。
今回のインタビューでお答えしたアクションは、先行しているアクションのひとつです。先立って、影響度の低い Cloud SQL Enterprise Plus を先に実行しました。
現在進めていることは、十数年前にほとんど仮想マシンだけで構築したものを、Redis なども検討しつつ結局最終的に Redis は使わない判断をしながら、Cloud Runなど新しい技術を使いながら、サービスとしてのパフォーマンスとコストの折り合いがつく費用対効果でのベストな有効性の検討です。
サーバーレス化を進めながら、Google Cloud のサービスの中で使えるものを極力使っていく構成を考えています。
サーバーレス化してクラウドネイティブな環境にシフトする中で、NHN テコラスにも一緒に動いてもらっている現状です。今後はサービス内に付加価値として AI 機能の追加も検討しており、クエリの最適化などにも今後 NHN テコラスにお任せしたいと考えています。
現在検討中の別件については、正式にサービスを開始するためには PoC がうまくいけば持っていきやすくなり、仕組みと連携するような話も出てくる予定です。次のステップとしてデータの準備や行動ログの作り方なども含めて、段階的に取り組んでいければと思っています。
NHN テコラスは、これまでもこれからも、技術面でも丁寧にご説明をして、ご納得いただける形でプロジェクトを進行していこうとしています。今後もネットアドバンス様へできる限りのご協力をして、ご支援を続けさせていただけますと幸いです。
株式会社ネットアドバンスについて
小学館グループのオンライン・パブリッシング・カンパニーとして設立。主力サービスである『ジャパンナレッジ』は、辞書・事典や専門書など多様な知識コンテンツを横断的に検索・閲覧できるオンラインサービスとして、法人・機関・個人まで幅広く利用されています。
- 社名
- 株式会社ネットアドバンス
- 内容
- 「知識」をテーマとした電子コンテンツ・パブリッシング
- 設立
- 2000年10月