台湾版アプリの移殖に伴うAWS構成のコピーが必要になるも、
社内にインフラの知見を持ったIT人材が不足

スマートフォン向けアプリ等のゲーム開発を手掛けるマギシステムは、香港に拠点を置く大手ゲームメーカーと提携し、アジア圏（台湾、日本、中国）で展開する女性向け育成＆恋愛アドベンチャーゲームに取り組むことになりました。そこで、グローバル展開に適したAmazon Web Services（AWS）をプラットフォームとして選定し、インフラの構築・運用を含めてNHN テコラスに依頼することにしました。インフラ構築プロジェクトの詳細について、株式会社マギシステム 取締役 山内一弘様にお話を伺いました。

導入前の課題

マギシステムは、スマートフォン向けゲームアプリの開発を得意としており、最先端のゲーム技術を駆使して、国内外へ向けて新たな価値を提供し続けています。 現在、中国では女性向けゲームに対する人気が高まっており、日本以上の市場規模を誇っています。当社としても女性向けゲーム市場にビジネスチャンスを見出していたことから、新規事業として香港の大手ゲームメーカーと提携し、台湾、日本、中国で同じアプリをリリースするプロジェクトを立ち上げました。そして、台湾で先行リリースしていた女性向け育成＆恋愛アドベンチャーゲームアプリ「センチメンタルフォトグラフィ」を日本版としてカルチャライズすることになりました。
日本版の開発における基本方針は、ゲームシステム自体を共通化するというもので、台湾版のシステム構成をそのままコピーする必要がありました。そのため、インフラ部分は台湾版に合わせ、グローバルなクラウドサービスであるAWSを利用することになりました。ですが、社内にはソフトウェア開発の技術者は多数在籍していましたが、AWSに関する最新のサービスやベストプラクティスへの知見を持つインフラ担当が不在という状況でした。
また、日本版のリリースにあたり、協業している大手ゲームメーカーから、「絶対にゲームサーバーが落ちないようにしてほしい」という可用性についての要望がありました。そのため、リリース前の負荷テストやチューニングをはじめ、非常に厳しい要件を満たす必要があり、経験やノウハウ、人材が不足していた当社にとっては、自社リソースだけでは対応しきれないのが課題でした。

NHNテコラス社を選んだ理由

先に述べたようにマギシステムには、可用性の高いシステムの構築ノウハウや、ゲームパフォーマンスを100%発揮できるようなシステム構築の経験値がありませんでした。また、社内の技術者には、本来業務であるアプリ開発やサービス運営に専念してもらいたいという思いもあり、インフラ部分についてはAWSに対する豊富な知見や構築実績を持つベンダーにアウトソースしたいと考えていました。
そこで、別プロジェクトで何度かコンタクトを取っていたNHNテコラスに協力を仰ぐことにしました。NHN テコラスは、最上位のAWSプレミアパートナー認定を取得しているという実績はもちろん、以前から協力的な姿勢を見せていたこともあり、信頼のおけるパートナーだと思っていたため、安心感を持ってインフラ構築をお任せできました。

タイトなスケジュールを乗り越え無事アプリリリース。
運用フェーズにおけるコスト最適化にも尽力

導入プロセス

マーケティングの事情でリリース日の変更ができず、最終仕様の決定がリリース直前になったこともあり、2か月間という非常にタイトなスケジュールでAWS環境を構築しなければなりませんでした。
さらに、従来では台湾版と日本版で１つの開発環境を利用していましたが、台湾と日本における商習慣や文化的な違いなどの理由から、基本的なコンセプトだけ残して、それぞれの地域に合わせたチューニングが必要になりました。また、仕様が異なるために、急遽新たに日本版の開発環境の準備などにも対応しなければなりませんでした。ですが、NHN テコラスがスケジュール調整を含め、柔軟に対応してくれたため、すべての問題をクリアできました。
加えて、社内の技術者からの質問に対するレスポンスも早く、当社に深く寄り添った技術支援を行ってくれたため、社内にインフラ担当がいないということ意識せずにAWS環境を構築できました。
また、柔軟なリソース増減を実現するAWS Auto Scalingを活用するために、次世代型のサーバー管理・監視サービス「Mackerel（マカレル）」を提案してくれるなど、アプリリリースまで時間が限られていたにもかかわらず、NHN テコラスには手厚くサポートいただき、大変助かりました。

導入効果

NHN テコラスの構築支援のおかげで、2022年１月18日に「センチメンタルフォトグラフィ」を無事リリースできました。
やはり一番の導入効果は、急激なアクセスが予想されるリリース直後から現在に至るまで、安定的にユーザーにサービスを提供できていることです。また、Mackerelを利用したシステム監視と障害発生時の一次対応を24時間365日体制で行う監視スタンダードプランを導入したことで、手間と時間のかかるAWSの運用・保守から解放され、本来業務であるゲーム開発やサービス運営に集中できるようになりました。加えて、パフォーマンス監視を実現できていることを、提携する大手ゲームメーカーにアピールできるようになったのも大きな導入効果です。
当初はゲームサーバーのダウンによるユーザーの離脱を回避するために、余裕を持ってリソースを配備しましたが、アクセス数が安定した際には柔軟に伸長・縮退してコストの最適化を図らなければなりません。この点についても、NHN テコラスによる最適な提案により、プロジェクト開始時に提案いただいたAWSリセールサービスの導入を含め、適正コストでのアプリ運用を実現できています。

今後の展望

今後も、アプリの安定稼働に注力するとともに、AWS構成の見直しを通してさらなるコスト削減に取り組んでいきます。その中で最適な構成案やインスタンス選定の提案など、継続的にNHN テコラスから支援を受けられたらと考えています。
今回のプロジェクトのように、国外メーカーとの協業が増えてくると、グローバル展開が可能なAWSに関する経験を積んでいく必要が出てきます。当社くらいの会社規模ですと、本来はアプリケーションエンジニアなのにサーバーの面倒まで見る、もしくはサーバーエンジニアを兼任するというケースも出てくるでしょう。しかし、その体制では、何か障害やトラブルがあったとき社内のリソースだけではどうしても対応しきれないため、今後もNHN テコラスのようなスペシャリストと一緒に、業務を進めていけたらと思います。