“クラウドの人材もスキルもない”急成長中の中小企業がAWSの導入・活用でビジネス課題を克服できた理由
ラクサス・テクノロジーズ株式会社導入事例- お客様の課題
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- ・会員数の急激な増加にサーバーの増強が追い付かず、瞬間的なアクセス集中でサイトダウンが発生していた
- ・社内にクラウドの人材もスキルもなく、地方のため採用も難しい状況だった
- 課題解決の効果
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- ・インフラ構成を見直しながら、アクセスの負荷分散やインスタンスのオートスケーリングをチューニングし、レスポンスが悪くならないように改善
- ・AWS運用に時間が割かれていた担当者も本来の業務に集中できるようになった
ビジネスの急成長とともに、システムの運用やパフォーマンスに課題を抱える企業は多い。特に、中小企業ではクラウドを導入して課題を解決しようとしても、「人材もスキルもない」といった悩みにも直面する。こうした課題を抱えていた、広島に本社のあるシェアリングサービス企業のラクサス・テクノロジーズは、どのようにしてクラウドを導入し、効果的に運用、活用できるようになったのか。その理由を明かしてくれた。
急成長中のブランドバッグシェアリング
サービス企業が
直面した課題
クラウドの特徴の一つ「所有から利用へ」の流れは、ビジネスの在り方も大きく変えた。定額で利用するサブスクリプションサービスやユーザー同士で共同利用するシェアリングサービスが物販の世界にも波及し、自分でモノを購入しなくても「モノの価値」を楽しむことができるようになった。
ブランドバッグを交換自由で定額で使い放題にするシェアリングサービス「ラクサス(Laxus)」を展開するラクサス・テクノロジーズも、そうした新しい価値を顧客に提供することで急成長している企業だ。広島県に本社を置いて「世界中に笑顔を」を経営理念に2006年に創業し、2015年にラクサスをローンチした同社は、スタートから順調に会員数を伸ばし続け、サービス開始から7年たった現在は米国市場にも進出。米国と日本で会員160万人、品ぞろえ4万種類を突破する規模にまで成長した。
そんなラクサス・テクノロジーズだが、ビジネスの急成長とともに、システム運用面ではさまざまな課題に直面するようになり、ビジネス機会が失われそうになるトラブルにたびたび遭遇していた。企業の成長に合わせてシステムをどう拡張していけばよいのか、拡張が見込まれるシステムの運用管理はどうすればよいのか、IT人材をどう確保すればよいのかといった、急成長中の企業や地方の中小企業の多くが直面する課題だった。
ラクサス・テクノロジーズでマーケティング、プロダクト、広告運用、CRM(顧客関係管理)、アプリ改善などの責任者を務める常務執行役員の川本康博氏はこう話す。
「社内サーバを中心にアプリのバックエンド部分を運用していたのですが、会員数の急激な増加にサーバの増強が追い付かないことがたびたびありました。『ブランドバッグのシェアリング』という今までにないサービスだったこともあり、多くのメディアに取り上げてもらったのですが、TVなどで紹介されると瞬間的なアクセス集中でサイトが落ちたり、多数のお客さまにメールを送っても不達になったりしていました」(川本氏)
もともとラクサス・テクノロジーズでは、「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」を採用した上で「ブランドバッグのシェアリングサービス」を展開していた。AWSを採用したのは「世界一のECビジネスを構築したAmazonのクラウドなら間違いない」という期待があったからだ。自社のサービスが成長する中で、AWSなら柔軟に拡張可能で、コスト面での効果が高い。ただ、問題は、AWSを利用するノウハウが不足していたことだった。
「当社も、中小企業の多くが抱える悩みである『社内にクラウドの人材もスキルもない』という状態でした。本社が広島ということもあり、スキルアップしようにも勉強会などは東京など首都圏に集中していて参加するにも難しさがあります。また、AWSに詳しいエンジニアを雇おうにも、地方の中小企業ということで人材も少なく、採用したくてもできないという状態だったのです」(川本氏)
そんなとき助けとなったのが、AWS認定パートナーの存在だった。自社による環境設定ではメール不達やアクセス過多によるサービスダウンなどの課題がたびたび発生したが、そうした課題への対応にNHNテコラスの「総合支援サービス」を採用し、ビジネスの継続的な成長につなげている。「C-Chorus」はAWS利用料が割引になる請求代行サービスを中心に、AWSの導入や移行、運用を最上位パートナーであるNHNテコラスが総合的に支援するサービスだ。
メディア掲載時にはアクセス数が20倍超、
十数万件のメール送信にも問題が
ラクサス・テクノロジーズが、NHNテコラスが提供するAWSの請求代行サービスを利用し始めたのは、2018年4月からだ。その後、AWSの利用を進める中で「ピーク時に期待したようにスケールアウトできない」「膨大なアクセスに耐えられずレスポンスが悪くなる」「顧客向けに数十万件のメールを送信する際に時間がかかる」といった課題が表面化していった。
「メディアに取り上げられると、数分間で2万アクセスを超えるなど、アクセス数が普段の20倍超に跳ね上がります。顧客にメールを送信する際も適切なタイミングであることが重要です。自前でAWSを運用していると、AWSのどのサービスを効果的に使って対応すべきか分からないことが多く出てきました。そこで、2018年8月からNHNテコラスさんの全面サポートを受け、パフォーマンスボトルネックの解消に取り組んでいったのです」(川本氏)
川本氏は、幾つかあるAWS認定パートナーの中でも、特にNHNテコラスに強い興味を持ったという。
「入り口は請求代行サービスでした。NHNテコラスさんを通してAWSを利用することで、円建て請求やクラウド保険の利用が可能になり、さらにAWS利用料が割引されます。当時の一番の魅力は、請求代行サービスを利用することで、AWSの利用コストを圧縮できたことです。その後、自社でAWSを運用する中で、リソースや社内のスキル面からさまざまな問題が表面化しました。そこでNHNテコラスさんに相談し、急激なアクセス増による障害のボトルネックとなる部分の最適化など、システム構成を根本から作り直すところからサポートしてもらうことになったのです」(川本氏)
パートナーとして選んだNHNテコラスは、実績や経験も魅力だったという。NHNテコラスはアプリ開発企業やゲーム企業を中心に豊富な導入実績があり(2022年8月時点では2800契約超)、AWSを活用したクラウドジャーニー全体を熟知していた。ビジネス成長に合わせ、技術だけでなく人材やスキル面でもサポートしてくれることにも期待した。
「例えば、技術サポートも、時間単位でAWSに詳しいエンジニアに作業代行を依頼できる『エンジニアリングサポート』の利用が可能でした。また、時間単位で利用できるため、自社のエンジニアの成長や雇用に合わせて柔軟に利用することで自社のエンジニアの業務負担を軽減することに役立てることができました。AWSをスモールスタートで利用し、その後、大きく成長するためのクラウドジャーニー全体でサポートしてもらえる信頼感があったのです」(川本氏)
AWS総合支援サービス「C-Chorus」を活用し、インフラの課題を
包括的に解決
AWS総合支援サービス「C-Chorus」について、NHNテコラスの高山俊氏(マーケティング本部 西日本エリア第一営業チーム マネージャー)は次のように説明する。
「AWSの費用を抑えながら安心して活用できる請求代行の『AWSリセールサービス』や、経験豊富なエンジニアがベストプラクティスに基づいて技術支援やコンサルティングを行う『プロフェッショナルサービス』、パフォーマンスチューニングなど時間単位で作業を代行する『エンジニアリングサポート』といったサービスを包括的に提供しています。お客さまのAWSの利用ステージに合わせて最適なサービスを選んでご利用いただけることが特長です」(高山氏)
例えば、プロフェッショナルサービスでは「AWS Well-Architected フレームワーク」に基づいた状況の把握や可視化を行い、直近の課題だけでなく、今後を見据えた解決策を提案する。エンジニアリングサポートでは、「Amazon EC2」のインスタンス設定、OSやミドルウェアのアップデート、オートスケール構成の構築、セキュリティ対策など、エンジニアのリソースが足りない場合に顧客が直面している課題に対する作業支援によって、本来の業務に集中できるようにする。
「自社にAWSに詳しいエンジニアが不在だったり、リソースが足りなかったりする場合に、NHNテコラスさんに依頼することで、リソースやノウハウ不足を解決できます。自社の成長に合わせてエンジニア作業の依頼量を時間単位で調整できるので、自社で確保が難しい人材を抱える必要もなく、効率良く課題を解消できるのが大きな魅力です」(川本氏)
ボトルネックは半年で解消し、今ではAWS構成の根っこの部分から、普段のきめ細かなアドバイスなどをエンジニアリングサポートで利用しつつ、24時間365日の監視、障害一次対応は監視・運用代行サービスを利用している。
「米国進出の際にも現地用のサーバ構築で協力していただきました。高い技術力と高速な構築、担当者のスピード感のある対応によって、米国でのサービス提供は非常にうまく進みました」(川本氏)
AWSへの最適化によって運用工数を約40%削減、
AIや機械学習の活用を進めていく
C-Chorus採用後は、さまざまな面で効果を確認している。AWS移行のきっかけとなったアクセス過多への対応については、インフラ構成を見直しながら、アクセスの負荷分散やインスタンスのオートスケーリングをチューニングしていった。NHNテコラスの姫野智和氏(エンジニアリング本部 SEチーム)はこう解説する。
「以前は月に一、二度レスポンスが悪くなったりしていましたが、チューニング後は負荷分散の仕組みを工夫して、そうしたことが一切出ないようにしました。また、数十万件のメール配信については、外部の大量高速メール配信システムを活用することで、必要なときにタイムリーにメールを配信できるようにしました」(姫野氏)
ラクサスにおけるAWSのインフラ構成
「システム運用負荷やコスト削減という点では、AWS運用に時間が割かれていた担当者を本来の業務に振り向けることができるようになったことが大きいですね。今思うと、『自社開発』という言葉にこだわり過ぎていた面もあります。開発業務と兼務の3人ぐらいで行っていた運用業務が、今は担当者1人で済むようになり、AWS導入前と比べて運用工数は約40%削減できました」(川本氏)
人材不足やスキル不足という点では、時間単位でのエンジニアサポートの利用によって、新たな人材を雇用することなく、安定的に新規サービスの構築や既存基盤のトラブルシューティングなどに対応できるようになった。
「C-ChorusによってAWSのインフラが安定稼働することで、ラクサスというサービスが大きく成長するカギになりました。今は、サービス運用に必要な基本的なインフラをそろえたことで、長年のサービス運営で蓄積されたデータをどう活用してサービス改善につなげるかに注目しています。例えば、あらゆる場面でお客さまのニーズを事前に察知し、適した対応ができる仕組みの構築に、AWSの機械学習サービスが生かせると考えています。AIやレコメンドエンジンを活用したコンバージョン率の向上や、カスタマーチャーンを抑えるパーソナライズ化、機械学習でトランザクションを予測して業務効率を上げるなど新しい取り組みを実践するつもりです」(川本氏)
NHNテコラスは2021年11月に国内12社のみのAWSの最上位パートナー(AWS プレミアティア サービスパートナー)となり、マイグレーションとマネージドサービスプロバイダーのプログラム認定を取得した。顧客とともにNHNテコラス自身も成長し、さらに高い品質のサービス提供ができるようになったといえる。NHNテコラスでは今後もラクサス・テクノロジーズの支援を継続していくとともに、これからAWSを導入する地方/中小企業を支援するために、移行の初期費用50%オフ、AWS利用料10%オフのキャンペーンを2022年12月31日まで実施している。コストやリソースの不足でAWSの導入が進まない企業に対して、NHNテコラスは強力に支援していく構えだ。
転載元:@IT「“クラウドの人材もスキルもない”急成長中の中小企業がAWSの導入・活用でビジネス課題を克服できた理由」
※記事中で紹介しているエンジニアリングサポートとプロフェッショナルサービスはサービス統合を行い、現在は「プロフェッショナルサービス」としてご提供しています。
AWSの活用を支援する「C-Chorus」
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ラクサス・テクノロジーズ株式会社について
- 社名
- ラクサス・テクノロジーズ株式会社
- 内容
- シェアリングサービス
- 設立
- 2006年8月31日
- 従業員数
- 89人(2022年7月時点)