SNSマーケティングのITによる効率化を模索、たどり着いたAI活用

導入前の課題

当社では企業のSNSアカウント運用の支援を行うサービスを提供しています。しかし人力によるSNSのアカウント運用は工数もかかることや担当者の主観や経験値に依存してしまう部分が多いため、SNSのマーケティングをITによって効率化する方法を模索していました。そこでいまユーザー数の伸びが大きいSNS、Instagramにフォーカスし、企業のSNS担当者がよく悩まれる「どの画像を投稿すれば一番よい反応が得られるのか」という課題を解決できる仕組みを作りたいと考えました。

お客様のご要望

100枚の画像があったら、ユーザーの反応が得やすい10枚の画像をAIで選定するような仕組みを漠然と考えていました。NHN テコラスには画像解析が専門のデータサイエンティストもいるため、データ分析を依頼することに決めました。AIを活用する構想はありましたが、実現可能なのかも含め手探りの部分も多く、NHN テコラスと検証を重ねていきました。
Instagramは投稿を行う際に、画像や動画、テキスト、ハッシュタグの3つの要素があります。Instagramはその特性上、FacebookやTwitterなど他SNSと比べて画像の重要性が高いため、画像を分析対象とすることにしました。テキスト情報も組み合わせて分析することも考えられましたが、まずは単純に画像のみに取り組むことにしました。
また闇雲に検証を行っても効果はでづらいため、Instagram内で投稿数が多く、企業でも活用の需要が高そうな料理の画像からアプローチをはじめていただきました。当社は企業向けのサービスを提供しているため、企業と個人のアカウントで分けて検証を行っていただいたのですが、2つのグループでは分析結果の傾向が全く異なるという興味深い結果がでました。また当社が用意していた企業アカウントだけでは仕組み化するための画像が少なかったのですが、NHN テコラスでシステム側のチューニングを行いサンプルサイズの少なさをうまく補っていただきました。

検証を繰り返しながら、投稿画像を点数化するAIを開発

NHN テコラスの提案

検証を繰り返した結果、画像からその画像の魅力をディープラーニングで点数化する仕組みを開発できました。画像を入力すると画像の魅力が計算され、それにフォロワー数も加味すると「いいね！」の数まで予測できる仕組みです。当社からの要望は点数化だけだったのですが、NHN テコラスから最終的に上がってきたレポートでは画像のどの部分が「いいね！」に貢献しているかわかるヒートマップの仕組みも用意されており、プラスの提案・成果をいただけたことは非常に嬉しかったです。

当社はSNSの分析や運用効率化のためのツール開発の経験は豊富ですが、AIの開発は未経験だったため、専門家に対応いただけたのはとても頼りになりました。NHN テコラスのデータサイエンティストが画像解析やSNSのデータ分析に関する論文を何本もあたって根気強く検証をしていただけたからこそ、よい結果の出るツールを作り上げることができました。

今後の展望

Instagramは 2017年10月時点で国内月間アクティブユーザー数が2,000万人を突破し（※）、企業のビジネス活用も増えているため、企業アカウントの運用に悩むSNS担当者も増えていくことが予想されます。こういった背景の中、今回の取り組みを当社が行えたことは大きな意味をもち、社内ではサービス活用への期待も高いです。現在は、料理の画像で解析を行っていますが、今後はファッションやインテリア、日用品などの画像も検証を進めていきます。今回開発したAIにより、悩める企業のSNS担当者の一助となれればと考えています。

※日本経済新聞　https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21819200T01C17A0000000/