導入事例

ガバメントクラウド活用のための内製化を支援 請負開発の円滑化へAWS活用の知見を蓄積

アトラス情報サービス株式会社導入事例
お客様の課題
  •  官公庁や地方公共団体が発注元となる案件で、ガバメントクラウドを利用したシステム基盤にAWSを指定される案件が増えているが、これまでクラウド開発の経験が少なく知見や情報が不足していた
課題解決の効果
  • ・開発の過程で出てきた不明点やトラブルの解決策について、NHN テコラスの技術支援により適切な回答を得ることができ、円滑なプロジェクト進行につながった
  • ・Backlogを用いたやり取りにより、社内メンバーで情報を共有することができ、ノウハウとして蓄積された

創業から60年という歴史を誇るアトラス情報サービス株式会社様は、おもに「保健・福祉・介護・医療」といった分野のシステム開発で、豊富な開発実績を有する独立系ITベンダーです。

一般企業に加えて、官公庁や地方公共団体が発注元となる案件が多いという同社ですが、昨今の案件では、発注元の意向によりシステムの基盤にAWSを活用するケースが増えてきているといいます。

国民健康保険の電算処理システムの開発を担う、同社ソリューション第2本部国保システム部の池上大輔部長、小松拓未係長にお話をお聞きしました。

本日はよろしくお願いします。最初に、アトラス情報サービス様について教えてください

池上様:
官公庁の基幹システムや、自治体の保健・福祉といった領域の仕事を中心に請け負っている、独立系の情報システム開発会社です。もともとBPO事業を母体としてスタートしましたが、その後システム開発を中心に事業を拡大しました。

官公庁向けには、総合保健福祉システムの「健康家族21」やデータ管理システム「DHパイロット」といったパッケージなども提供しているのが特徴です。また、民間企業向けにSES事業も展開しています。

私たちの部署では、国民健康保険に特化したシステムやパッケージのソリューション開発を担っています。国保と聞いてもピンとこない方がいらっしゃるかもしれません。一般的に医療費の支払いは3割負担で、残りの7割は医療機関から保険者への請求手続きが発生するわけですが、請求業務は煩雑であり手作業だと混乱も生じますので、システムによって月々の支払いの割合や金額を調整するようなことを行っており、そうしたシステムの保守・運用、開発が主なミッションです。コーディングやプログラミングというよりは、インフラやパッケージのフィット&ギャップ、システムが動くようにチューニングする、あるいはデータの移行など、全般的なソリューションアーキテクトとしての役割が求められています。

アトラス情報サービス株式会社 池上様
アトラス情報サービス株式会社
ソリューション第2本部 国保システム部
部長 池上大輔 様

今回NHN テコラスで支援させていただいた、AWS移行プロジェクトについて教えてください

アトラス情報サービス株式会社 小松様
アトラス情報サービス株式会社
ソリューション第2本部 国保システム部
係長 小松拓未 様

小松様:
最近では、中央省庁や官公庁が作ったシステムが、パッケージ化されてリリースされるケースが増えており、本案件も同様の構図で請け負うことになった案件でした。そこから当社や当社の顧客がシステムの開発・運用を担うのですが、あらかじめ発注元である中央省庁からシステム基盤にはAWSを利用するよう指定がありました。これは、昨今デジタル庁が推進している、クラウドを第一候補として検討する「クラウド・バイ・デフォルト原則」の流れを受けた方針だったのだと思います。
私たちの部署で扱っている他の案件でも、中央省庁から卸されるシステムについては基本的にクラウド化が進んでおり、一部を除いてAWSを使っています。

国の施策である「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、「地方自治体の基幹業務システムの標準化」や「ガバメントクラウド移行」が推進されているのだと思います。現在は各団体でシステムを保持・運用していますが、将来的にはリソースを共同利用するようなことも考えているのかもしれません。

今回の案件に関しては、中央省庁にてインフラレベルの設計や情報が不足しているという背景があり、どう分析して運用にフィットさせていくか、という部分で懸念がありました。また、もともとオンプレミスで稼働していたものをクラウドに移行するという案件でしたので、AWS特有の仕様にあわせる必要があり、ハードルの高さを感じていました。

どのような経緯でNHN テコラスに発注いただいたのでしょうか?

池上様:
もともと別の案件で、取引があったベンダー様から当社の他部署にNHN テコラスを紹介され、そこで数カ月間支援を受けたという経緯がありました。その後、今回の案件が立ち上がり、プロジェクトを進める過程でご相談することになりました。AWSの最上位パートナーであるAWSプレミアティアサービスパートナーの認定をうけた会社ということで、情報量や知見に期待して発注を決めました。

小松様:
もともとオンプレミスの開発案件が中心で、部門としてもAWSやクラウドを取り扱ってこなかったため、社内であまり知見がありませんでした。
新規顧客の案件という事情に加えて、運用ベースでも不明瞭な部分があったため、AWSまわりの知見をもつ会社ということで、過去の対応実績にもとづいたアドバイスを求めてNHN テコラスに支援を依頼しました。

今回のプロジェクトでAWSを利用してみて、どのような感想をお持ちになりましたか?

小松様:
とくに違いを感じたのは、ネットワークについての考え方です。通常のインターネット回線も使っていろいろな接続を試してみたのですが、上手くいかないケースが出てきました。ポリシーまわりについても、ルールをこまかく把握していないと制御が難しいと感じました。
メリットとして感じたのは、やはりサーバーの立ち上げが早いこと、使わなくなったら稼働を停止しておける、スペックの調節も臨機応変にできることなどです。

池上様:
これから運用フェーズに入り本格的にシステムが稼働していけば、スペックの調節などサイジングの部分では効果を発揮してくるのではないかと思っています。クラウド化のメリットについては、これから注視していきたい部分です。

NHN テコラスでは、AWS利活用のためのアドバイザリー契約のもとで支援させていただきましたが、この部分についてはいかがでしたか?

小松様:
今回はアカウントのポリシーなど比較的制約が多い案件だったことに加えて、情報の不足もあり、調査や準備のための作業が必要以上に発生しました。AWSのことがよく分からないなかで、NHN テコラスに対しては曖昧な質問をしてしまうこともあったと思うのですが、やり取りを通じて課題を明確にすることができ、最終的には必要な解決方法の資料を提示してもらえました。
NHN テコラスの一次回答は迅速で、初めに方向性を示してもらえるため、ある程度の方向性を定めたうえで調査を進めることができたように思います。早期に仮説を立て、原因究明に向けたアクションを取ることができたので、作業時間の短縮につながり、大変助かりました。

例えば、ネットワーク関連の設定作業を本来推奨されていない設計のもとで進めてしまい、あとから軌道修正が必要になったことがありましたが、回避策について、NHN テコラス側の回答をもとに提案を固めることができました。
また、中央省庁側で独自に設定したと思われるAmazon CloudWatchのメトリクスや、アカウント権限が見つかることもありましたが、そうしたケースでもNHN テコラス側に設定の可否など確認するようにしていました。

直近の作業では、AWS DMSを使ったAmazon Auroraへのデータベース移行の設定で、システムの稼働を止めずに、大容量のデータを移行させる必要が生じています。システムの稼働を止めずに移行できるという認識はありましたが、元システムへの影響や必要な作業時間など、把握できている情報が限られるなかで、対策や実現可否について質問させていただいうえで、検証の準備を進めているところです。

池上様:
Backlogを使った質問と回答のやり取りというのはとても有益に感じました。他部署のメンバーも参照することができ、社内で情報を整理、共有することができました。コンサル的な立ち位置で支援をしていただけたので心強かったです。

Backlog画面イメージ
Backlogによる質問と回答

今後、AWS活用案件が増えてくると思いますが、取り組みや対応の方針を聞かせてください

池上様:
AWSに関して言えば、当社のパッケージソフト提供においても、新規のお客様へのデモにノートPCを持参していたものが、AWSを使ったサイトでデモを実施できるようになるなど、活用の幅が拡がっています。

デジタル庁が進めるデジタル標準化の対応については、わたしたちの部署でも大きな影響を受けるため、この先数年は対応にかかりきりになるという予測をもっています。そこから派生して、官公庁ではクラウド化の選択肢として複数存在していたものが、徐々にAWSがスタンダードになりつつあります。今回の案件でNHN テコラスにAWSのノウハウの内製化を支援してもらい、これを土台にして今後の案件に活用していきたいと思います。

今後も引き続きお手伝いさせていただければと思います。本日はありがとうございました

公開日:2024年5月27日

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アトラス情報サービス株式会社について

官公庁の基幹システムや「保健・福祉・介護・医療」分野のシステム開発において、豊富な開発実績を有する独立系ITベンダーです。

社名
アトラス情報サービス株式会社
内容
保健・福祉・介護・医療情報ソリューションサービス、システムソリューションサービス、BPOサービス
設立
1964年12月
従業員数
711名(2023年10月現在)

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