宇陀市が提供する行政システムをAWSへ移行 ガバメントクラウド初案件でネットワークとAWS運用を共同で支えた取り組み
株式会社オプテージ導入事例お話を伺った方
(写真左から)
・ソリューション事業推進本部 ソリューション部門 公共営業部 自治体営業チーム 今西 正章様
・ソリューション事業推進本部 ソリューション部門 公共営業部 自治体営業チーム チームマネージャー 山本 喜代志 様
・ソリューション事業推進本部 ソリューション部門 ICTソリューション部 公共ICTソリューションチーム 泉 拓樹 様
- お客様の課題
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- ・ガバメントクラウド(ガバクラ)に関する情報が不足しており、G-CASアカウント取得やテンプレート適用などの要件・手順をまとめるのが難しく、庁内だけでは迅速な対応が困難だった
- ・ネットワーク回線に加え、CSP環境の構築・運用までワンストップで提供してほしいという自治体からの要望が増加していたが、パブリッククラウドの知見が不足していた
- ・入札時点で高精度な設計提示が求められ、短期間で仕様の確定・確認を進める必要があり、設計負荷や調査工数の増大が見込まれていた
- 課題解決の効果
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- ・ガバクラ特有の仕様の整理、入札時の設計精度向上、ASP接続など複雑な要件の具体化により、提案力・プロジェクト推進力が向上した
- ・AWS環境構築・監視設計・日本語化対応などの技術支援により、運用工数が大幅に削減され、コア業務であるネットワーク運用に集中できる体制が実現した
- ・タイトなスケジュール下でも必要な環境を遅延なく構築でき、2025年10月の本番稼働へスムーズに移行できた
地方自治体標準化に向け、ガバメントクラウド接続回線とCSP環境をワンストップで届けたい―――。
株式会社オプテージ様が「ガバメントクラウド接続ソリューション」のもとで進められた宇陀市様(奈良県)のガバメントクラウド移行プロジェクトは、デジタル庁主導で進められている地方自治体標準化業務の流れの中で検討が始まりました。
同社 ICTソリューション部 公共ICTソリューションチームで自治体様向けネットワーク・クラウドの構築・運用支援を担当する泉様は、当時の状況を次のように振り返ります。
「宇陀市様に限らず、デジタル庁主導で全国的に地方自治体標準化業務を令和7年(2025年)度中に移行する必要がありました。弊社としては回線事業者としてガバメントクラウド接続用のクラウド接続回線をご提案していましたが、お客様からは、自社回線サービスの提供だけでなく、回線接続点となるCSP環境内の構築・運用までワンストップで提供してほしいという要望が多く寄せられていました」
しかし当時、公共団体向けパブリッククラウドの提供実績はまだ十分ではなく、チームとしての知見も不足していました。
「デジタル庁から発信される情報やドキュメントが頻繁に更新される中で、それらに柔軟かつ迅速に対応する必要がありましたが、社内だけで対応するには難しさを感じていました」(泉様)
こうした背景から、ガバクラ案件をともに推進できるAWSパートナーの選定が急務となりました。
NHN テコラスへの支援依頼
多くの自治体がガバメントクラウドの基盤としてAWSを採用する状況を受け、オプテージ様はAWSパートナーとの連携強化を検討しました。そこで候補に挙がったのが、AWSプレミアティアサービスパートナーであり、以前の問い合わせ対応でも丁寧なサポートが印象的だったNHN テコラスでした。
泉様は選定理由について次のように語ります。
「公共団体様の案件では、落札後の金額変更ができないため、入札時点で精度の高い設計や構成の提示が求められます。NHN テコラス様は、本来であれば契約後に詰める設計フェーズの内容にまで踏み込んで提案してくださり、自治体様への提案の具体性を高める大きな助けとなりました」
また、時間単位で技術支援を受けられる「プロフェッショナルサービス」は、ガバクラ案件のように仕様が固まりづらく調査が多発するプロジェクトとの相性が非常に良かったといいます。
「他のベンダー様とも比較しましたが、逐次発生する調査や仕様確認、追加要件への柔軟な対応という点では、NHN テコラス様のサービスが最適であると判断しました」(今西様)
こうして、オプテージ様とNHN テコラスの共同プロジェクトが本格的に始動しました。
プロジェクトの流れ
2024年8月のキックオフ時点では、以下の前提条件が整っておらず、プロジェクトは当初想定よりもタイトなスケジュールで進行することになりました。
- ・ガバメントクラウド用AWSアカウント(G-CAS)に関する情報が不足
- ・閉域回線の構築に必要なライセンスの払い出しが遅延
- ・デジタル庁ドキュメントの更新頻度が高く、常に最新を追随していく必要性
- ・MFAデバイスの準備など、各種手続きが未完了
設計フェーズ:ネットワーク要件を踏まえたAWS設計
オプテージ様が宇陀市様へのヒアリングを行い、セグメント情報や接続要件を整理。NHN テコラスはこれをAWSの設計に反映し、ガバクラテンプレートの必須要件を満たしながら、ASP環境との接続要件も踏まえた構成を策定しました。
構築フェーズ:Direct Connect接続と冗長化対応
オプテージ様作業による閉域接続の開通後、NHN テコラスはAWS環境の接続設定を担当。東京リージョン・大阪リージョンの冗長構成による回線切替試験でも、AWS側の切替確認を行い、スムーズな冗長化検証が実現しました。
泉様は当時をこう振り返ります。
「G-CASアカウント取得やCEPライセンス準備に時間がかかり、構築期間がさらに圧縮されてしまいました。しかし、その中でも引き渡し時に必要な環境を遅延なく構築いただき、非常に助かりました」
運用フェーズ:複数ASPの接続にも迅速に対応
2024年12月以降は運用フェーズに移行し、宇陀市様から順次提供される各ASP環境情報をもとに、NHN テコラスが接続設定や検証を実施しました。
「毎回こちらの問い合わせに迅速に回答いただき、設定変更もスムーズでした。複数ASPの接続試験も問題なく進み、2025年10月の本番運用に支障なく移行できました」(泉様)
AWS環境の構成
NHN テコラスが構築したAWS環境は、ガバメントクラウド特有のセキュリティ要件とネットワーク要件を満たすよう最適化されたものです。
まず、デジタル庁が定めるテンプレートに基づき、管理アカウント・ネットワークアカウント・ワークロードアカウントの分離によるマルチアカウント構成を採用。IAMやログ取得などの基盤設定を整備しました。
また、オプテージ様が敷設した閉域回線とAWSを接続するため、Direct Connectに関するAWS側の設定・疎通確認・冗長構成の切り替え試験をNHN テコラスが担当し、安全性と可用性を確保しました。さらに、自治体特有の複数ASP接続にも柔軟に対応し、提供される情報に応じてルーティングやセキュリティ設定を調整。ガバクラ要件に沿った堅牢かつ実運用に耐えうる環境を構築しました。
運用・監視体制の提供
NHN テコラスは運用管理補助者として、AWS側の監視設計から障害発生時の一次対応、各種問い合わせへの技術支援まで一貫して担当し、オプテージ様がネットワーク運用に専念できる体制を構築しました。
まず導入したのは、ガバメントクラウドの要件に沿った監視・アラートの仕組みです。CloudWatchを中心に、ログ監視やネットワーク疎通、異常検知などを細かく設定し、異常時にはNHN テコラスが迅速に一次調査を実施。原因の確認と切り分けを行い、ネットワーク起因の可能性がある場合は速やかにオプテージ様へエスカレーションすることで、問題の切り分けに要する時間を60%程度短縮しました。
運用負荷を軽減した取り組みとして特に評価されたのが、AWSから送られる英語通知の日本語化です。通知内容を理解するまでの工数を削減するため、NHN テコラスは自動翻訳の仕組みを導入し、重要度の判断や影響範囲の解説も併せて提供しました。内容が分かりにくい通知については追加で分析を行い、Amazon Transcribeなどを用いて正確な情報を提供するなど、実運用に寄り添った支援を行いました。
さらに運用フェーズでは、複数ASP環境との接続設定が段階的に必要となりましたが、NHN テコラスはその都度AWS側の設定変更や接続試験を迅速に対応し、宇陀市様が予定通り本番稼働へ移行できるよう支援しました。こうした取り組みの積み重ねにより、オプテージ様の運用工数は大幅に削減され、ガバクラ環境の安定運用を支える基盤が整いました。
「作業の移管、効率化の取り組みを通じて、弊社としては回線ベンダーのコア業務である、ネットワーク通信設定の作業に集中できるようになりました。仮に弊社単体で実施していた場合と比べると、40~50%は運用工数を削減できたと感じています」(今西様)
導入効果
宇陀市様のガバメントクラウド移行では、NHN テコラスによるAWS環境の構築・運用支援が大きな成果をもたらしました。
ガバメントクラウド固有の仕様が不明瞭な状況の中でも、短期間で必要な環境を整備し、複数ASPとの接続設定を段階的に進めながら、2025年10月の本番稼働まで滞りなく導くことができました。また、英語通知の日本語化や監視設計の最適化など、実運用に直結する改善がオプテージ様の工数削減に寄与し、AWS運用の負荷軽減に貢献しました。こうした取り組みは、ガバクラ案件のノウハウとして同社内にも蓄積され、今後の自治体支援の強化につながる成果となりました。
「限られた期間でも必要な環境を遅延なく構築いただき、毎回の対応も迅速でした。NHN テコラスの対応がボトルネックになったことはなく、レスポンスの速さに満足しています」(泉様)
今後の展望
オプテージ様は今後、ガバメントクラウド接続回線の新規需要が収束していく一方で、既存環境の安定運用や追加要件への対応が中心となると見込んでいます。また、運用コストや仕組みに課題を抱える自治体向けには巻き取り提案も進めていく計画があり、同時にAWS再販を通じた提案領域の拡大も視野に入れています。
NHN テコラスに対しては従来どおり迅速かつ柔軟な技術支援が期待されており、ガバクラ追加案件や他クラウドを含めた相談にも、継続して伴走していくことが求められています。
「すでにガバクラ接続済みの自治体・団体様であっても、回線や運用補助費用のコストに課題があるケースなど、改善余地のあるお客様には今後もAWSの提案を行っていく方針です」(今西様)
「これから本格運用が始まる団体も増えるため、引き続き迅速な対応をお願いできればと思います。AWSや他クラウドの提案でも積極的に相談していきたいと考えています」(泉様)
NHN テコラスはこれからもオプテージ様とともに行政分野のDXを支え、ガバメントクラウド環境の安定運用と発展に貢献してまいります。
公開日:2026年1月26日
NHN テコラス 担当プロジェクトメンバー
エンジニアリング本部
クラウドエンジニアチーム
マネージャー 八重樫優
エンジニアリング本部
ソリューションアーキテクトチーム 酒井尭史
マーケティング本部
第二営業チーム 山本圭吾
導入サービス
株式会社オプテージについて
独自の光ファイバーネットワークを基盤とした家庭向け光インターネットサービス「eo(イオ)」、携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」、法人向け情報通信サービス、クラウドサービスや自社運営のデータセンターなどを提供している、関西電力100%出資の情報通信企業です。
2026年1月には曽根崎DC(OC1)のサービスを開始。
大阪マラソンのオフィシャルスポンサーとして第1回大会より協賛しており、大会運営に関するインターネット回線の提供や社員のボランティア活動にも参加。地域に根差す会社として活動しています。
- 社名
- 株式会社オプテージ
- 内容
- 電気通信事業、有線一般放送事業、小売電気事業、警備業、情報システム、電気通信ならびに放送に関するシステム開発、運用、保守業務の受託
- 設立
- 1988年4月2日
- 従業員数
- 2,972名