クラウド基盤をAWSに リソース不足を補い内製化を支援する技術支援とAWS Organizationsを活用したガバナンス強化の取り込み
西松建設株式会社導入事例- お客様の課題
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- ・AWSによる全社システム基盤の構築および維持管理を推進するにあたり、社内の人的リソースが不足しており、支援を受けられるパートナーを探していた
- ・AWSとの直接契約からAWSパートナー経由の契約に切り替えるにあたり、Organizations、ControlTowerの構成を維持しつつ、十数個存在していたAWSアカウントを移管する必要があった
- 課題解決の効果
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- NHN テコラスの支援により、あらかじめ策定した計画に沿って移管を進めることができ、AWS Organizationsによるアカウント管理のもとでガバメントを強化し、安定したシステム基盤を実現できた
土木、建築、環境技術を中心として、国内外で幅広く建設事業を手がけてきた西松建設株式会社は、2024年で創業150周年を迎えました。
情報システムの領域においては、早い段階から外部パッケージソフトやSaaSの導入に取り組んできたという同社ですが、2022年6月1日付で「西松DXビジョン」を発表。この中で、「DXで実現する西松の姿」として3つのテーマを掲げています。
① 現場力がシンカしたスマート現場
② 仮想と現実が融合した一人ひとりが活躍できるワークスタイル
③ エコシステムで新しいサービスや空間を創り出すビジネス
これらを実現するため、システム基盤におけるクラウド利用を拡大しつつ最新技術やアプリケーションの利用価値を引き出すことに取り組む、DX戦略室 ICTシステム部ICTインフラ課のみなさんにお話を伺いました。
はじめに、DX戦略室とICTインフラ課の役割を教えてください
鈴木様:
一昨年(2022年)に、西松DXビジョンを策定するとともに、DX戦略室が発足しました。
DX戦略室は3つの部門で構成されており、DXプロジェクトの企画、推進を担うDX企画部と、西松DXビジョンの 一つ「スマート現場DX」の実現に向けて、現場のDX推進を担うデジタル技術革新部、そしてICT部門の機能を担うのが私たちの所属するICTシステム部になります。
ICTシステム部は2課体制になっており、ひとつが基幹システム等の業務システムをメインに担当する情報システム課、そして私たちの所属するICTインフラ課です。ICTインフラ課では従業員が利用する各種デバイスの手配や管理、システム基盤、ネットワーク、セキュリティ基盤の企画、維持管理など社内のICTインフラ全体を管轄しています。
人員数としてはDX戦略室全体で50名程度、ICTインフラ課は16名体制になっています。
ICTインフラ課としては、クラウド化の推進がミッションになるのでしょうか?
鈴木様:
従来、システム基盤はオンプレミスで構築してきました。SaaSは早い段階で利用を開始しましたが、基盤からクラウド化するというのはひとつの課題でした。
ミッションとして与えられたというよりは、西松DXビジョンの実現に向けて、ICT部門として「最新の技術を活用していくためにはクラウド化の推進が必須」という考えが生まれ、4年ほど前から検討を開始しました。
オンプレミスの場合、基盤の刷新タイミングが5年単位になり、どうしても古いままの状態が続き、新しい仕組みに対して俊敏に対応できないという課題がありました。
クラウド基盤としてAWSを導入され、稼働している中でNHN テコラスとご契約いただいた理由をお聞かせください
高橋様:
AWSはもともと使い慣れていたという理由から選定しました。インターネット上に掲載されている情報も豊富で、自分たちで調べながら進めやすいのがAWSでした。
当初はAWSとの直接契約でアカウントを発行していました。そのなかでいくつかサーバーを立てたり、メールの仕組みを移行したり段階的に利用を拡大していたのですが、サーバーを担当するメンバーが限られる中で、マンパワーが不足するシーンが散見されました。
クラウドの自走を目指していくにあたり、支援していただけるAWSパートナーを探しており、NHN テコラス社にお声がけしました。
NHN テコラス社の提案が良かった点としては、プロフェッショナルサービスによる対応の柔軟性です。
月ごとに決められた時間枠の中で、私たちの相談を受けてもらったり、実際の作業を進めてもらえたりするなど、わたしたちが自走を目指していた中で、それにあわせて並走していただけるサービスとして、理想的だったと感じています。
他社ですと、案件単位での発注が多い中で、システム基盤やAWSというスコープで支援してもらえるという点が、選定の決め手になりました。
藤本様:
明確な要件を定められない段階で、一番柔軟に対応いただけるのがNHN テコラス社でした。
あらかじめ「こういうシステムを作りたい」というものが明確に定まっていれば、要件として提示できるのですが、今回のケースは「AWSを使ってクラウドを全社のシステム基盤としていく」というプロジェクトであったため、今後どのようなシステムがAWS上で稼働することになるのか、どのような運用業務が発生するのか予測が難しい状況でした。
また、一般的なSI案件の契約作業のように、案件単位での見積りからの発注が必要になると、スピード感が損なわれてしまう懸念がありました。弊社としては、クラウド利用によるスピード感を重視していますので、そのスピード感を担保してくれて、かつ柔軟に対応いただけるサービスであるということがNHN テコラス社を選ぶ決め手になりました。
AWS Organizationsを利用して、すでに多数のアカウントを運用されている中、NHN テコラスの請求代行サービスにご契約を移管されることになりました
藤本様:
AWSのベストプラクティスに沿って運用した結果、アカウント数が増え、NHN テコラス社との契約段階で14~15程度存在している状況でした。
請求代行のサービスを利用するにあたり、AWS Organizationsの利用が必須要件となる中で対応できる企業が少なかったのですが、その数少ないうちの1社がNHN テコラス社でした。C-ChorusのAWS請求代行サービスは、AWS OrganizationsやAWS Control Towerを利用できる「アカウント専有プラン」があり、AWS利用料が割引きになるなどの特典も豊富で魅力的でした。
高橋様:
委託先のパートナー企業がアクセスできる範囲やシステム単位など、ガバナンスを利かせる必要がある範囲ごとにアカウントを分離しています。すでにAWS Control TowerやAWS Organizationsが動いていた中で、NHN テコラス社は、AWSとの直接契約からスムーズに移行するためのプランも提示してくれました。
アカウント移管のプロジェクトが始まってから、テコラスの貢献が感じられた部分を教えてください
藤本様:
マンパワーの不足を補ってもらえた部分が一番大きいと感じています。
あとは、自分たちで調べても本当に正しい情報なのか確証が得られないことも多い中で、専門家としてのNHN テコラス社に回答をもらえるというのは、信用できましたし、調査時間の短縮にもつながりました。
個別の設定調整などにも対応いただき、既存のワークロードに影響が出ない形で移管が進められた点は、非常に感謝しています。
高橋様:
もともとAWS Control Tower、AWS Organizationsといったセキュリティサービスを使用していましたが、移管に伴うSCPの変更点などをきっちり出してくれたので、安心してお任せすることができました。移管後の組織とアカウントの相関図も出していただいたため、あらかじめ全体像を把握することができました。この形であれば影響を抑えながら移設作業を進めることができそうだと、安心して着手することができたと感じています。
また、明確な要件定義やドキュメントが存在しない作業も少なからず存在したのですが、アカウントの現状を調査して提案をしてもらえるシーンもありました。こちらの要求を言葉にしきれなかった部分に対しても、NHN テコラス社のエンジニアからは「こういうイメージですよね?」というような投げかけがあり、作業に落とし込んでくれたのは助かりました。
今回のアカウント専有プランの中では、エンタープライズサポート相当を無料でご提供しています
高橋様:
もともとAWSのビジネスサポートを利用していましたが、アカウント単位での契約になるため、複数アカウントを保有している中で、すべてのアカウントに適用していたわけではありませんでした。そのため、従来はビジネスサポートをつけていないアカウントで障害が発生した場合には、AWSのビジネスサポートへ問い合わせができなかったのですが、NHN テコラスに環境を移管することで、すべてのアカウントに対してエンタープライズ相当のサポートを受けられるようになったことは大きかったと思います。
実際にAmazon CloudWatchのエージェントでサーバー監視の設定が飛んでしまう事象が発生した際に調査を依頼するなど、細かい対応を依頼したケースもありました。
藤本様:
それに加えて、以前は毎月発生していたサポート費用がかからなくなったため、コストメリットも感じました。個人的には、どのアカウントがどのサポートプランに加入していたかという確認や判断を都度行う必要がなくなり、管理体制がシンプルになったことが最大のメリットだと感じています。
今後、クラウド化の方針やAWSの利用に関してどのような方針をお持ちですか?
藤本様:
AWSの導入に関しては社内の全社基盤構築が完了し、これを利用するためのガイドラインを策定したところで、いったん一区切りついたと考えています。
AWS以外のクラウドサービスも利用しているため、今後はマルチクラウドの基盤を整備していきたいと考えており、この部分もNHN テコラス社の支援を期待しています。
今後の開発案件に向けて、現在は要件定義、設計、構築を当社で行い、運用フェーズに近いタイミングからプロジェクトに参画いただくケースが多い状況ですが、今後社内のリソースが不足してきた際には、要件定義の段階からプロジェクトに参画いただくなど、今より近い形での伴走も期待しています。
高橋様:
クラウド化の目的として、開発や運用の自走化というのがありますが、外部パートナーへの依存度を下げてすべて社内のリソースで賄おうとすると、スピード感が損なわれる懸念があります。
AWSはマネージドサービスが多いため、運用に関しては積極的にオフロードし、その分自分たちがサービスに触れることができるようにしたいというのがクラウド導入の目的のひとつでした。
これからもインフラ領域に関しては内製、自走を基本としながら、必要な部分は適宜外部パートナーの支援を受け、スピード感のある開発を重視していきたいと思います。
鈴木様:
クラウド化に対する温度感や方針は人によって多少の差異があるかもしれません。フルクラウド化には抵抗があるという人もいれば、推進したいという人もいます。
社内にはオンプレミスの資産もまだ残っており、ゼロにはできないので、今後3年くらいをかけて方針を決めていきたいと考えています。
ただ、もともとオンプレミスの資産をリフトするというより、新規にシステムを構築する際にクラウドをシステム基盤として利用する方針としていました。パッケージソフトについてはメ-カー側の事情もありクラウドネイティブな構成が難しいケースが依然多いですが、今後新規に構築する仕組みは、基本的にはクラウドの活用を優先し、クラウドネイティブな基盤作りにも挑戦していきたいと考えています。その際にはまたNHN テコラス社の技術力を頼りにしています。
公開日:2024年6月10日
AWSの活用を支援する「C-Chorus」
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西松建設株式会社について
「土木事業」「建築事業」「開発・不動産事業」「環境・エネルギー事業」を展開し、国内および海外で幅広い社会基盤の構築に積極的に取り組んでいる総合建設企業です。
- 社名
- 西松建設株式会社
- 内容
- 建設事業、開発事業、不動産事業 ほか
- 設立
- 1937年(創業:1874年)
- 従業員数
- 2,804人(2023年3月末現在)